久しぶりに純粋なクラシックコンサートへ行ってきました。
大好きなチェリスト、ミッシャ・マイスキーのリサイタル。
感動のひとこと。
というより言葉では言い尽くせないほどの芸術性。
高音は心が洗われるような美しさ。
そして悲しげなメロディではむせび泣くように打ち震える様はもはや人間業とは思えません。
地を這うような低音はお腹の底から身体ごと震わせてくれます。
目の前でチェロを演奏しているというのに舞台から飛んできた音が会場中の空気を支配しているような不思議な感覚でした。
目の前の出来事なのにピーンと張り詰めた空気の中の緊張感、迫力は異次元?
全てが完璧。
ピアニストとの息もピッタリ。
いや、そんな言葉も表現も必要のないくらい自然体。
二人なのに正に一体になっている。
ピアノの音も真珠でも転がしているかのような美しさ。
その中にも力強さ、悲しさ、流麗さがころころと変化していく。
クラシックのコンサートでこんなにも真剣に瞬きもせずのめり込んでしまったことってあっただろうか?
ミッシャ・マイスキーのステージは彼がステージに現れた瞬間からがもう始まっている。
それ以前にステージに置かれ主役を待つ椅子が素敵。
このこだわりも半端ではないけれど彼の衣裳もまたいい。
今日はイッセイ・ミヤケのプリーツプリーズ。
前半は上がシルバーで下がブラック。
休憩後は反対に上がブラックに下がシルバー。
大きめのネックレス。
ヘアスタイルは触ってみたくなるようなおそらく天然パーマ。ふんわりとした白髪。
ひき始める前に必ずかき上げる仕草がまたセクシー。
ゆったりと椅子に座り衣裳を整え、髪をかき上げ一瞬目をつむる。
左手をすっとあげ舞を始めるかのような仕草から流れるように演奏が始まる。
ピアニストもその時だけミッシャ・マイスキーの方を向き空気を感じ取って音が流れ出す。
なのでこちら側は自然に吸い込まれていくように流れに巻かれる。
魂が楽器に吹き込まれ楽器はみるみるうちに歌いだす。
彼が命を分けているような気さえする。
今日のプログラムはブラームスとラフマニノフ。
共に小品とソナタ。
ラフマニノフのソナタは大好きな曲。
中でも3、4楽章が好きなので本当に嬉しかったし幸せな時間でした。
さらにアンコールではラフマニノフのヴォカリーズ。
泣けた〜
御歳60歳となられる巨匠はさらに2曲もアンコールに応えてくださった。
心から音楽を愛する芸術家の最後にだけ見せた笑顔が印象的でした。
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